アクセス

■伊藤安海 教授 チーム
人体損傷評価の確立ー傷害事件の鑑定ー

生体軟組織の動的力学特性評価法の確立

力と指骨骨折の相関に関する実験的研究

床材の骨折リスク評価手法の確立

高齢ドライバ運転診断リハビリシステムの確立

■山田隆一 助教 チーム
医療用金属材料に関する研究




人体損傷評価の確立ー傷害事件の鑑定ー
 日本において2009年度から裁判員制度が施行され,打撃事件において人体が受ける外力と損傷の関係性を客観的に明らかにすることが求められている.しかし,特定の凶器で打撃した際,凶器(鈍器)の殺傷能力を推定する評価法が存在しない.そこで我々は,加害者,被害者,凶器それぞれの観点で評価することによって,総合的な人体損傷評価法の確立を目指す.この研究は幼児のあざから虐待の早期発見やロボットと人間が接触した際の損傷評価につながると期待している.

生体軟組織の動的力学特性評価法の確立

外力と人体損傷の関係は,殺人(未遂)事件,傷害事件における殺意の有無を明らかにする目的で,警察,大学の法医学教室において従来から熱心に研究されてきた.その結果,皮膚,筋肉などの生体軟組織の存在が,動的荷重による骨折の有無に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきた.しかし,生体軟組織の動的力学特性を測定する手法が存在しないため,その影響はこれまで定量化されてこなかった.そこで,我々は生体軟組織の動的力学特性の定量化を目指す.この研究は,人間が接触することによる事件・事故での損傷評価,安全評価につながると考える. 


力と指骨骨折の相関に関する実験的研究<
 製造業における死傷者割合は食料品製造業における食料品加工機械による災害が最も多く,その中でもとりわけ手指の損傷が多発している.これらの事故予防のために外力によって手指が受ける損傷レベルの推定が求められるが,その評価手法は確立されていないのが現状である.そこで我々は,ひと指を模擬した豚尾によって衝撃力と骨損傷の相関関係の調査を行い,安全評価法の確立を目指す.


皮膚損傷発生の力学的メカニズムの解明と予防技術の開発
 近年,手術用クッション等の医療機器および生活支援ロボット等の福祉機器の使用による皮膚損傷が問題になっている.そこで,皮膚の力学特性を明らかにし,皮膚の応力-ひずみ状態を解析する必要がある.そこで本研究では実際の環境を模擬した実験で応力-ひずみ状態を動的に計測することで,皮膚損傷発生の力学的メカニズムの解明と予防法の開発を目指す.


床材の骨折リスク評価手法の確立
 日本での転倒に対する骨折の現状として,大腿骨骨折または転子部骨折の約74%が立った状態からの転倒が原因であり,その数は近年増加傾向を示している.しかし,床材と骨折リスクとの関係を示す評価方法は確立されていない.本研究では,一般的に使用されている床材や生体軟組織に対して落錘試験を行い,衝撃に対する緩衝性能を測定する.また,人が転倒する挙動をパターン化し,FEM解析を行う.そして,それぞれの床材に対して骨折リスク評価を行い,機能性,安全性の両方を有した新たな床材の開発を行う.

高齢ドライバ運転診断リハビリシステムの確立
 現在,高齢ドライバが引き起こす事故が増加し,社会問題となっているため,運転中止の時期を明らかにすることと安全運転を長期継続させることが求められている.運転には複雑な能力が必要とするため,運転を模擬したドライビングシミュレータを用いることで安全な評価やトレーニングが可能になる.本研究では,高齢ドライバの安全運転を長期期間継続可能にするための社会システムの確立を目指す.



医療用金属材料に関する研究
 現在,血管拡張ステントにはステンレス鋼が使用されているが,体内に半永久的に残存することで再狭窄が起こることが課題である.この対策として生体適合性に優れ体内に吸収されるマグネシウム合金製ステント実現が望まれている.そのための特性向上を目指した基礎的な検討としてECAP(Equal-Channel Angular Pressing)加工による結晶粒微細化技術を用い評価している.

 本研究テーマは公益財団法人 JKA 2023M-287 の助成および競輪の補助を受けました.
補助事業番号:2023M-287
補助事業名:「2023年度 ECAP加工による生体適合型ステント用マグネシウム合金の耐疲労特性向上補助事業」

 がんの治療法の一つに放射線治療がある. ロボット制御による高精度放射線治療を行うためには治療患部に放射線を照射するための目印として金マーカをニードルという医療機器で留置する必要がある.この高精度放射線治療のための金マーカ留置用ニードル評価に関する研究を行っている.

 
伊藤(安全医工学)研究室
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